「楽しいから続けていたら、
健康になっていた」が理想です。

はじめましてPACEです Vol.03

85[ハチゴウ] 代表・嶋津和久さん

関西エリアマネージャー・井上みどりさん

この秋、ルクア イーレの4階に「PACE(ペース)」が誕生します。お客様やお店、関わる人たちの“ペース”と向き合う空間にしたいと思いを込めたこの新エリア。そこに軒を連ねるテナントのひとつ「85[ハチゴウ](以下、ハチゴウ)」は、“発酵”をキーワードに健康や環境にやさしい暮らしを提案するライフスタイルショップです。「環境や健康にいいものって、少しとっつきづらくて……」そんな不安を正直にぶつけたところ、そのはじめの一歩を踏み出すためのサービスが次々登場。商品を売って終わりじゃない、長期的にお客様と向き合おうとする姿勢に、ルクアチームも心打たれました。

今回の取材場所は、ルクア大阪のオフィス。
ルクア岡森が「お待ちしておりました!」とお迎えしたのは、ハチゴウの代表・嶋津和久さんと、関西エリアマネージャーの井上みどりさん。
「本日はよろしくお願いします!」
まずはルクア岡森と寅屋敷から「PACE」についてのプレゼンをスタート。
嶋津さんと井上さんにコンセプトをお伝えするのは今回が初めて。

ルクア岡森:実はこの取材は公開企画会議になっていて。いつも打ち合わせしている時のように、「こんなんどうですか」「なんか違うな」「悩みますね」とか、そういうリアクションも含め、一緒になって作り上げている過程を記録していければと!

嶋津:わかりました。気負わずにお話しましょう!(笑)

ルクア岡森:今回の新エリアでは、“モノが主役の場”ではなくて“人が主役の場”を作りたいと考えています。「人生がより良くなるためにものを買う」という本来の価値を、売る方も買う方も大切にできる場所にしたいんです。

「私たちの店でも『価値の提供』を大事にしているので、同じ考えで心強いです」と笑顔のお二人。

発酵をテーマに、お客様の衣・食・住に寄り添う。

ルクア岡森:ハチゴウさんってお客様の生活や暮らしに根ざしたお店だと思っていて。“発酵”というテーマで、お客様に多面的に関わっていますよね。ハチゴウさんのようなお店が増えていったら、商品が主役だったルクアの商売の仕方が、ものすごく変わる気がしているんです。

「お味噌の量り売りをアイスみたいにお洒落な見た目で展開されていたり、エンタメ性が幅広いですよね」と寅屋敷。

嶋津:ハチゴウでは健康や環境にいいものを提案していますが、商品に対して「こういうところが良いんですよ」とダラダラ書かないようには意識していて。まず視覚的に、かわいいな、一体なんだろうから始まって、実はこんなに奥深いストーリーが背景にあるんだっていう発見をしてほしいんです。

ルクア岡森:ライトな入口を用意してくださっているのは嬉しいです。私自身、体に良いものに興味はあるものの、コアな世界のイメージが強くて足踏みしてしまいがちで。

嶋津:詳しい方は、躊躇せず専門的なところにいかれると思うんです。でも私たちがやりたいのは、これまで意識もしていなかった人がハチゴウをきっかけに、新しく興味をもっていただくこと

井上:発酵食品って続けていくことで体調の変化を実感できるものなので、体の調子が良くなったことで、習慣にする意味を感じてもらえたら嬉しいです。

マイぬか床サービスで、
“少し面倒でも大事にしたい”気持ちをサポート。

ルクア岡森:現段階で、「PACE」の店舗ではどのようなサービスを考えていますか?

嶋津:具体的な体験でいうと、先程お話しいただいた味噌の量り売りを考えています。あとはカスタマイズできる味噌汁をデイリーに利用いただけるサービスをしたいなと。

歴史と独自の製法をもった6~8種類のお味噌と3種類の出汁を用意し、
その組み合わせを自分の好みに応じて選ぶことができるサービスを構想中とのこと。
「お客様だけでなく、ルクア館内中のスタッフが味噌汁を飲みに行く姿が思い浮かびます(笑)」と、テンションの上がる二人。

ルクア岡森:腸活などの言葉もよく聞くなか、1日1杯の味噌汁、健康に良いとわかっていてもなかなか難しいんですよね。

井上:ルクアに限らずオフィス街で働いている方々って休憩時間も限られていて、コンビニで済ますような方が多いのかなと感じています。そういう方々の日々のルーティンのなかに入れていただきたいです。カフェに行くみたいにハチゴウを使っていただくのが理想ですね(笑)。

ハチゴウで展開中の「マイぬか床サービス」についても気になる岡森。
「ぬか床も難しそうなイメージがあるんですよね。『いつかはやってみたいリスト』に常に入ってはいるんですが……(笑)」
「マイぬか床サービス」は、ぬか床の材料や容器の調達、ぬか床のメンテナンス、毎日のお手入れ、場所の確保、野菜の用意などをハチゴウでサポート。お客様が作ったぬか床を、お店で管理し一緒に育てていくサービス。

嶋津:梅田の中心地でぬか床をつくる。一見すると突拍子もない組み合わせかと思われるかも知れませんが(笑)。

井上:ぬか床って、仕組みを聞いたら意外と簡単ですねっておっしゃっていただくんですよ。やはり何事も「はじめる」というところで一番パワーがいるので、そこを私たちがお手伝いしながら、体験していただければと思っています。

ルクア岡森:「毎日かき混ぜるのは面倒くさいな」なんて思っていたのですが、プロがついてくれるという安心感をもてると、その後を続けていく自信にもなりそうです。

嶋津:あとは、スーパーで売っているぬか漬けとの味の違いも感じてほしいですね。「ぬか漬けってこんなにおいしいものなのか!」と驚くと思います。しかも体調の変化もついてくる。それを実感して初めて「少し面倒でも、良いことがこんなにあるなら大事にしていきたい」という気持ちがついてくると思うんです。

「ぬか床って混ぜる人の手や腕の常在菌の力でも作られていくので、オンリーワンのものができるんです。自分が育てたという愛着が湧くんですよね、植物やペットのように」と、愛しげに語る井上さん。
「お客様が漬けたぬか漬けを食べ比べできたら面白そう」「変わったものを漬けてみたよ、とかおすすめしあって、お客様のコミュニティが形成されるかも」と、想像は膨らむ。

嶋津:あと、ハチゴウで使っている電解水の提供もできないかと考えています。ぬか床の手入れ後って、石鹸の手洗いくらいでは匂いが取れなくて。ですが、界面活性や洗浄効果があるアルカリ水、殺菌消臭効果がある酸性水の2種の電解水で手洗いすると取ることができるんです。

井上:これをお客様にもなんらかの形でお配りできればと思っています。販売ではなく、あくまでおすそ分けみたいなかたちで。ぜひご家庭では、アルカリ水はキッチンやお風呂、トイレのお掃除、酸性水は消臭スプレーとして使っていただけたらと。薬剤と違って、性質が失われればただの水に戻るので、環境への負荷もかからないんです。

ルクア岡森:お客様にお気に入りのボトルを持参していただいて、そこに詰めてお渡しする、なんていうのも面白そうですよね。インテリアとして置いておきたくなるようなボトルを作るとか。

デザインをとっかかりにして、環境に良いものを。

「うちは、今はまだまだブランドとして認知度が高くはない。だからこそ、見た目のかっこよさや美しさにはこだわりたい」と嶋津さん。

嶋津:たとえば北海道で牛の糞尿を乳酸菌で分解した消臭に使える液があります。内容としてはとてもすばらしいものなんですが「とはいえ糞尿じゃないか」というイメージをもってしまう方がいらっしゃると思うんです。だから本当はうちでも扱いたいけど、まだちょっと難しい。でもこれが「ハチゴウの提案するスタイルは、かっこいいし信頼できる!」という風にお客様に認知していただけるようになれば、もっと前向きに皆さんに捉えていただけるのではと考えています。

ハチゴウはお客様の理解や関心度に合わせて「環境に寄り添う提案」の伝え方を変えている。お客様と長期的に向き合う姿勢はルクアチームも学ぶことが多い。

井上:デザインが気に入って手に取ったものが、実は健康や環境のためになっているということに気付いていただけたらと思いますね。

ルクア岡森:そしてどんどん発酵の沼にはまって、どんどん健康になっていくという(笑)。

公開企画会議の後、工事中の「PACE」を見学することに。その道中、「お二人にとっての良いペースとは?」と投げかける岡森。

嶋津:元スタッフが山梨に住んで有機農業をしていて、たまに農業を手伝いにいくんです。そうすると朝5時に起きて、畑仕事をしてクタクタに疲れて、夜も早々にこてっと寝ちゃうという生活を送ることになるんですね。それがとても心地よくて、これが人間として本来あるべきペースなのかな、と感じますね。お客様にもぜひ体験してほしくて、今後は農業体験の企画もやっていこうと思っています。

井上:自由さとか、自分で選択して進んでいる時に自分の本来のペースができていると感じますね。それぞれ自由なペースがあるからこそ、社会も多様性が生まれる気がしていて。菌の多様性が大切な、腸内環境やぬか床の菌たちと同じですね(笑)。

話している間に工事中のフロアへ到着。この場所にどんな「PACE」が出来上がるのか、そしてどんな「PACE」に変化していくのか。それぞれの期待を胸に、しばらくの間フロアを眺めていた。

ルクア大阪・寅屋敷のインタビュー後記:
85[ハチゴウ]さんの商品は、エピソードを聞くと、思わず「へ〜!」とうなってしまうものが多く、インタビュー中も自分の知らない世界をたくさん教えてもらいました。お話を聞いていると知らないことばかりでしたが、「発酵の知識、菌の知識なんて、知らなくても大丈夫ですよ」と堂々と言ってくださる安心感が、いち消費者として嬉しかったです。知識を知って買ってみるのもいいですが、「楽しい!」「かわいい!」と手に取って知らない間に健康になっていたら最高ですよね。ルクア大阪店では、マイぬか床サービスや、味噌の量り売り、コーヒー代わりになる味噌汁テイクアウトなど、面白いコンテンツが盛りだくさん! ぜひのぞいてみてください。

Edit:Hasegawa Mayu
Photo:Watanabe Yoshiko
Text:Hirata Yufuko
Edit Support:Minami Ayumi・Kubota Leia

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